産業医について

産業医とは

産業医と臨床医の違い

事業場において、専門的な立場から労働者の指導・助言を行う医師

項目 産業医 臨床医
役割 ・従業員の健康維持・増進
・働きやすい職場環境の実現
・法令順守/職場の活性化と生産性の向上
・患者の治療
活動場所 ・事業場 ・医療機関
契約者 ・事業者 ・個人(患者)
対象者 ・従業員(健康な人~心身の状態がすぐれない人) ・傷病がある人(その疑いがある人)
職務 ・従業員が、健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、医学的な立場から管理・指導・助言 ・患者の診療(検査、診断、治療)
必要な知識 ・医療や健康に対する幅広い知識
・人事労務に関する知識
・専門的な医学知識
事業者への勧告権 ・あり ・なし

産業医の選任義務

事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに産業医を選任しなければなりません。
(労働安全衛生法第13条、労働安全衛生規則第13条)

マーク  当会で対応可能な範囲

事業場の規模 ※1 選任義務 ※2 必要な産業医数 備考
嘱託 ※3 専属 ※3
50人未満 なし 50人未満の事業場では「医師等に、従業員の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない」(努力義務)
50~499人 あり 1名
500~999人 あり 1名
嘱託(有害業務以外)
専属(有害業務)
1名
嘱託(有害業務以外)
専属(有害業務)
安全則第13条第1項第2号に定める有害業務を取り扱う場合に限り専属産業医の選任が必要
1,000~3,000人 あり 1名
3,001人以上 あり 2名
  • 事業場の規模における従業員の数え方(昭和47年9月1日基発602号)
    平均的な状況の事業運営状況において、日雇労働者やパートタイマー等の臨時的従業員を含めて、実際に働いている従業員の人数
  • 産業医の選任と労働基準監督署への報告
    常時50人以上の従業員を使用するに至った場合/産業医に欠員が出た場合 → 14日以内に産業医を選任し遅滞なく所轄労働基準監督署長に届出
  • 嘱託産業医と専属産業医
    専属(常勤)産業医:もっぱらその事業場において産業医の業務に従事する者
    嘱託(非常勤)産業医:専属産業医以外の産業医である者

産業医の業務とは

産業医の業務の例

業務内容 頻度や時期 時間目安 内容
産業医による職場巡視 月1回 10~30分 産業医が職場を巡回して、作業状態や作業の変化、衛生状態、労働者の健康状態、職場のストレスの状況などをチェックします。
衛生委員会の
同席または議事録確認
月1回 10~30分 従業員のこころとからだの健康についての審議の場です。産業医は委員会に参加し、医師の立場から意見を述べ助言をします。
結果確認(就業判定) 受診日から
3ヶ月以内を目安
1件につき
1~5分
有所見者の健診結果を確認し、意見聴取を行います。
従業員面接 随時 1件につき
15~60分
高ストレス者、長時間労働者、復職者等に対し面接を実施し意見書を作成します。
その他相談 従業員の健康相談を行い、受診勧奨や紹介状作成を行います。また、人事担当者の相談にも対応します。

訪問日のタイムスケジュール(2時間訪問の場合)の例

  • 13:30 事業場に到着・職場巡視
  • 13:45 衛生委員会に参加
  • 14:00 復職委員会に参加
  • 14:20 従業員面接(復職者)
  • 14:40 従業員面接(健診結果説明と受診勧奨)
  • 15:00 人事担当者との打ち合わせ
  • 15:30 訪問終了

健診結果のチェック(就業判定)やストレスチェックの結果確認は訪問時に実施します。

料金について

事業所が行う健康管理とは

(参考)健康診断と事業所が行うべき7つの措置

(参考)健康診断と事業所が行うべき7つの措置
  • 健診結果の管理
    健康診断を実施した場合は、「健康診断個人票」を作成して記録しなければならない。(安衛法第66の3)※保存期間:原則5年/特殊健診は5年以上
  • 労働基準監督署長への報告
    常時50人以上の労働者を使用する事業者は、健康診断を行なったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(安衛則第52条)
  • 労働者への結果通知
    事業者は、健康診断を受けた労働者に対し、当該健康診断の結果を通知しなければならない。(安衛法第66の6)
  • 医師への意見聴取(就業判定)
    健康診断の項目に何らかの異常の所見がある場合には、労働者の健康を保持するために、医師から意見を聞かなければならない。(安衛法第66の4)
  • 健診後のフォローアップ
    健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある場合は、医師や保健師による保健指導を行うように努めなければならない。(安衛法第66の7)
  • 二次検査の受診勧奨
    二次健康診断の受診を勧奨するとともに、診断区分に関する医師の判定を受けた当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である。(健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)
  • 職場環境の改善
    医師によって労働環境を改善する必要があると助言された場合には、迅速に対処しなければならない。(安衛法第66の5)

(参考)健康配慮義務

(参考)健康配慮義務

使用者責任の4類形

  • 社会的責任:企業イメージの低下や道義的責任の発生
  • 刑事的責任:労働安全衛生法による司法処分(懲役・罰金)
  • 民事的責任:債務不履行、不法行為による損害賠償(金銭支払)
  • 行政的責任:行政指導による企業活動の停止、など