栄養士連載 食事プラスワン

第34回 夏に気を付けたい食中毒

栄養相談にやって来た単身赴任中の、のぶおさん(51歳)が食事の取り方について管理栄養士に相談しているようです。

51歳男性 ノブオさん

この前、健康診断で血糖値が高いと言われてから意識して野菜を摂るようにしているんだ。
最近では自分でお弁当を用意して持って行っているんだよ。

素晴らしいですね!

栄養士

51歳男性 ノブオさん

けれど最近、ニュースでよく食中毒の話を聞くようになって、、
お弁当が危ないとかいわれるじゃない?

そうですね。
ニュースでも食中毒の報道がされ、注意喚起が出されていましたよね。
特に気温が上がってくる5月以降になると食中毒を引き起こす細菌が増えやすくなる為、「細菌性食中毒」の発生が多くなります。

栄養士

51歳男性 ノブオさん

だから管理栄養士さん、これからの時期、何に気をつけてお弁当を持っていけば良いのか教えて欲しいんだ!

わかりました。
それでは、まずは食中毒の予防法3原則、こちらを覚えてください。

栄養士

「付けない! 増やさない! やっつける!」

参照:食中毒|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。
先ほどお伝えした細菌性食中毒を防ぐための具体的な方法をお伝えします。

①細菌を食べ物に「つけない」
  • 食材を扱う前後はもちろん、こまめに手洗いを行う。
  • 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、冷蔵庫・冷凍庫中の他の食品に肉汁などがかからないようにして保管する。
  • 生の肉や魚を切った包丁やまな板は洗剤を使用して洗い、熱湯や塩素系漂白剤を用いて消毒する。
②食べ物に付着した細菌を「増やさない」
  • 購入した冷蔵品や冷凍食品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる。

※ただし、冷蔵庫に入れても細菌が死滅するわけではない為、長期間にわたる保存は避けて早めに使いきる事が望ましい。

③食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
  • 十分な加熱を行う。

※多くの細菌は、75℃以上で1分以上加熱することで死滅する。そのため、十分に加熱調理すれば、大抵の食中毒は防ぐことが可能。

  • 電子レンジ調理では、調理時間に気を付けて、熱の伝わりにくい物は時々かき混ぜる。
  • キッチンや食器・調理器具は常に清潔にする。

※長時間食器類や調理器具をシンクの水に浸しておく事で、細菌等が繁殖する可能性があるため、できるだけ早く洗う事が望ましい。

これらを踏まえ、お弁当を持っていく際のポイントをまとめると、

  1. よく加熱されたおかずを持っていく。
  2. 清潔な弁当箱を使用し、水気のある煮物やお浸しは控える。
  3. 付着している水分や食べ物から出てきた水分は捨てる。
  4. 作った料理はしっかりと冷ましてからお弁当箱に詰める。
  5. 保冷バックと保冷剤を使用する。

51歳男性 ノブオさん

付けない! 増やさない! やっつける!」、だね!
...教えてもらった内容だと生野菜はお弁当にはもっていかない方が良いのかな?

のぶおさん、鋭いご質問です。
生野菜は水分量が多いので、その水分が時間の経過とともに出てきてしまいます。
水分は雑菌を繁殖させてしまう為、生野菜は控え、温野菜など加熱した野菜類をお弁当に詰めていただくと良いでしょう。
また、温野菜にする事で野菜のかさが減り、生野菜よりも多くの野菜が食べれるのでおすすめですよ。

栄養士

51歳男性 ノブオさん

これからお弁当を持っていく時は水分を少なく、しっかり冷まして持っていきます!

コラム

~アニサキスによる食中毒~

アニサキスは寄生虫の一種です。これが原因で発生する食中毒を「アニサキス症」と言います。

これは、アニサキス幼虫が寄生している魚介類(サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなど)を生のまま食べることで、幼虫が胃や腸に侵入し、激しい腹痛や胃痛、嘔吐などが起こる感染症です。

寿司や刺身など魚を生で食べる文化のある日本はアニサキス症になる可能性が高く、アニサキスが原因で起こる食中毒が、年間を通した食中毒の50%を占めています。

アニサキス症の予防には、以下に注意してください。

①魚介類を購入する際は新鮮なものを選び、内臓は生で食べず速やかに取り除く。

②魚を調理する際には目視で確認し、アニサキス幼虫を除去する。

③アニサキスは加熱(70℃以上、もしくは60℃で1分加熱)により死滅する為、しっかりと中まで火を通す。

④アニサキスは冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)で死滅する為、冷凍保存を行う。

食中毒に注意し、美味しく魚介類を食べましょう。

注意
特に治療中の方は、食事量、調理方法など、必ず担当の医師や栄養士に確認し、指示に従ってください。

栄養バランスのよい食事とは

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

同友会メディカルニュース

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