コラム

“世界糖尿病デー”、青色のライトアップが行われます

休み明け前日、サザエさん症候群に注意しましょう

インシュリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖をエネルギーに変えて血糖値を下げる働きをしています。
さまざまな要因でインシュリンが分泌されない、或いはインシュリンの働きが弱くなると、血糖値が上昇して糖尿病が発症します。
現在、世界でおよそ4億6千万人、成人人口の9.6%が糖尿病に罹患しており、今後も増加の一途を辿ると言われています。
そして、糖尿病が引き起こす合併症で年間500万人以上が死亡しています。
この数字は世界のどこかで6秒に一人が命を落としていることであり、人類を脅かす恐ろしい病気のひとつと考えられている所以です。
このような危機的な状況に対して、国連は2006年に11月14日を“世界糖尿病デー”に制定し、糖尿病の予防や治療に関する世界的な啓発活動を開始しました。
当日は、世界糖尿病デーのシンボルカラーである青色のライトアップが東京タワー、エンパイアステートビル、エッフェル塔など世界各地の有名な建造物で行われます。
因みに11月14日はインシュリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日に敬意を現したものであり、今年は糖尿病の治療に初めてインシュリン注射が用いられて100年という節目の年にあたります。
さて、糖尿病の95%を占める2型糖尿病は発症に生活習慣が非常に強く関係するため、食事、運動などの生活習慣を改善することが予防の基本です。
また、遺伝の因子も大きいため、ご両親や兄弟、近しい親戚の方に糖尿病の方がいる場合は、より厳格な注意が必要です。
糖尿病はある程度病状が進行しないと自覚症状が現れない“サイレントディジーズ”で、症状が現れてからでは手遅れのことが少なくありません。
糖尿病の合併症が増悪すると失明、腎不全、狭心症や心筋梗塞など重大な健康障害に繋がり、個人的だけでなく社会的・経済的な損失も甚大となります。
健康診断の結果を見直して、糖尿病が疑われる場合は、必ず再検査や精密検査を受けること、そして、治療が必要な際は決して中断せずに継続することがとても大切です。
世界糖尿病デーをきっかけとして、糖尿病を正しく理解して病気に前向きに取り組むようにしましょう。

産業医 佐藤 潤一