コラム

花粉症の季節、口腔アレルギー症候群にも注意が必要です

花粉症の季節、口腔アレルギー症候群にも注意が必要です

花粉症は全ての季節で発症する疾患で、原因となる植物は国内に60種類以上認められています。
花粉症の70%がスギ花粉症であり、さらにその70%がヒノキ花粉症も合併しています。そのためスギ・ヒノキが花粉症の代表であり、春は花粉症のトップシーズンです。
花粉症の3大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、倦怠感や精神症状を起こすこともあり酷くなると、日常生活にも支障をきたします。
症状が現れる前から、花粉症対策を行うことが大切です。

さて、最近、花粉症の人は口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome; OAS)を合併する頻度が高いことが分かってきました。
合併率が最も高いのがシラカバ・ハンノキ花粉症でおよそ40%であり、スギ花粉症でも20%弱が口腔アレルギー症候群を伴うと言われています。
花粉症の人が口腔アレルギー症候群を合併しやすいのは、花粉症を起こすアレルゲン(原因物質)と果物や野菜のアレルゲンに共通した分子構造があるため、花粉と果物や野菜の両方で反応を起こすためと考えられています。
症状を起こす果物や野菜ですが、スギ・ヒノキ花粉症ではトマト、シラカバ・ハンノキ花粉症ではリンゴ、モモ、ナシ、セロリ、ニンジン、クルミ、ピーナッツなど多種類におよんでいます。もちろん、その他の花粉症でも口腔アレルギー症候群が起こりますので、花粉症の原因を検査して、口腔アレルギー症候群を起こす可能性がある果物や野菜を知っておくことが大切です。
ところで、口腔アレルギー症候群は花粉症がない人にも発症します。
特に、気管支喘息がある人、薬剤アレルギー、食物アレルギー、ラッテクスアレルギー(ゴム手袋過敏症)の人は発症する頻度が高いと言われています。
なかでもラッテクスアレルギーがある人は、ショックなど全身症状を起こす危険性もあり要注意です。
口腔アレルギー症候群は、口や喉の粘膜における接触蕁麻疹であり、特定の果物や野菜などを食べた直後から1時間以内(多くは15分以内)に、くちびる、舌、口の中、喉にかゆみ、ピリピリした刺激感、腫れなどの症状が現れます。
また、鼻水、鼻づまり、目の充血、涙が出るなどの鼻・眼アレルギーの症状や、蕁麻疹、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状、喉の閉塞感(喉が詰まる感じ)、喘息などの症状が出ることもあります。
さらに、重症の場合はアナフィラキシーと呼ばれる血圧の低下、意識の消失なども起こる可能性があり生命の危険に陥ることもあります。
口腔アレルギー症候群の治療は原因となる食物を食べないことが基本です。
症状が出てからも食べ続けると、重症化する可能性がありますので注意しましょう。
また、花粉症の治療を行うと軽快することもあるため、治療をしっかり行いましょう。

アレルギーは侮れない疾患です。
特定の果物や野菜などを食べて症状を感じた場合は早めにかかりつけの医療機関に相談することや耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

産業医 佐藤 潤一