節分は春夏秋冬、季節の分かれ目の日のことで昔は年に4回ありました。しかし、近年では節分は春になる立春の前日を意味します。
豆まきは平安時代に宮中で行われた儀式が由来と言われていますが、民間に広まったのは室町時代で現代に至っています。豆はお米と同じようにエネルギーの源であり霊力があるとされており、季節の変わり目に起こりがちな病や災害を鬼に見立て、豆を投げて鬼を祓い(はらい)その豆を食べることで力を頂けると考えられていました。
豆まきには炒った大豆が使われますが、大豆にはタンパク質をはじめ、糖質(炭水化物)、脂質、ビタミン、ミネラルといった5大栄養素の全てが含まれています。
特に肉に匹敵するほどタンパク質が豊富であるため、“畑の肉”とも言われていますが、肉などの動物性タンパク質と異なり大豆に含まれているタンパク質は低カロリーであり、コレステロールを減らし、脂質の代謝を促進し、脂肪の燃焼させやすくする効果もあります。さらに、体内では合成出来ない必須アミノ酸もバランスよく含まれています。
大豆に含まれる脂質には体内では合成できない不飽和脂肪酸であるリノール酸やα―リノレン酸が多く含まれ、これら不飽和脂肪酸にはコレステロールや血圧を下げる、動脈硬化や血栓の予防などの効果が認められています。
植物繊維も豊富であり、便通を良くする、腸内環境を整えるなどの作用もあります。
さらに、機能性成分と呼ばれる健康維持を助ける有効成分も複数含まれています。その一つであるイソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似ているため更年期障害の症状を緩和することや美肌効果、さらに骨粗鬆症の予防、癌のリスクを下げるなど効果もあると言われています。その他、大豆に含まれる成分には免疫を高める、脳の機能を改善し記憶力や集中力を高める、疲労を回復するなどの効果もあります。
従来日本人は大豆だけでなく、豆腐、みそ、醬油など大豆加工食品で大豆を多く摂取していました。しかし、食生活の欧米化が進み近年大豆の摂取量が減少し、最近の調査では大豆を含む豆類摂取量は1日約60gであると報告されています。厚生労働省が推進する“21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)”によれば、大豆を含む豆類の摂取量は1日100gが必要とされていますが、必要量の6割程度しか食べていないのが現状です。因みに、ゆでた大豆1粒はおよそ0.8gですので、約120粒が1日の必要量の目安になります。
大豆を含めた豆類を今まで以上に摂ることが健康の保持・増進のためにとても大切なので、大豆をそのまま食べるだけではなく、枝豆やもやし、豆腐、納豆、油揚げなどの加工食品、さらに最近開発されている大豆ミートなども用いて豆類の摂取量を増やすことを意識しましょう。
産業医 佐藤 潤一