梅雨は蒸し暑く一年の中でも最も不快な季節です。この時期に、何となく体調がすぐれない、気分がはっきりしないといった体調不良を自覚する人が少なくありません。梅雨の季節に生じるこのような症状の総称を“梅雨だる”と呼んでいます。
ある調査によればおよそ3人に1人が梅雨時に健康障害を訴えており、特に女性は60%以上に認められるとの報告もあります。
梅雨だるの主な症状は、倦怠感、頭痛、肩凝り、関節痛などフィジカルな症状だけでなく、めまい、気分の落ち込み、いらいら感などメンタルの症状も認められます。
これらの症状は、梅雨前線が近づき気圧が下がること、雨の日は気温が低く梅雨の晴れ間では真夏並みの暑さになるなど日々の気温の大きな変化、一日の中での寒暖差、さらにじめじめとした湿度の高さなど気象の影響が主な要因となっています。
梅雨だるの予防と解消法は、先ず生活のリズムを整えて自律神経のバランスを良くすることです。朝目覚めたら、カーテンやシャッターを開けて陽の光を浴びて体内時計をリセットすることが大切です。雨や曇りの日でも部屋を明るくしましょう。
次に朝ごはんをしっかり食べることも身体が活動モードになるために重要です。忙しい時でも果物など何か口に入れるようにしましょう。
また、日中はウォーキングやジョッギングなど意識的に身体を動かすようにしましょう。雨で外出できない時でも、室内でストレッチや筋トレなどを行うことを心がけましょう。
電車やバスの中、オフィスはエアコンが効きすぎることも少なくありません。身体の冷え過ぎは自律神経に悪い影響を与えます。薄手のカーディガンやストールを持ち歩くことや、ひざ掛けなどを用意しておくこともお勧めです。冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎを控えること、暴飲暴食を避けること、栄養のバランスを考えることなど食事の注意も大切です。また、お風呂も心身のリラックスには重要です。ぬるめのお湯に汗が出るまでゆっくり浸かり身体を温めましょう。
しっかり睡眠をとって寝不足を防ぐことも必要です。寝る直前までスマホやモニターを見ないこと、寝室の温度と湿度の調整も重要です。蒸し暑くなりすぎないようドライ機能を使うことも効果的です。
梅雨時の健康不良が続き梅雨明けを迎えると真夏の厳しい暑さで身体に更なる負担がかかります。夏バテを防ぐためにも梅雨だるの予防や解消がとても大切です。
産業医 佐藤 潤一