栄養士連載 食事プラスワン

第32回 乳製品とLDLコレステロール

健康診断でLDLコレステロールが高めといわれたちさこさん(49歳)が栄養相談にやってきました。

49歳女性 ちさこさん

健康診断でLDLコレステロールが高いと先生から言われてしまって…
更年期になるとよりLDLコレステロールが高くなると聞くし…心配だわ。

LDLコレステロールが高いと言われたのですね。
確かに更年期になると女性ホルモンの影響によりLDLコレステロール値の変化が見られる方もいらっしゃいます。
また、LDLコレステロールはお食事の内容によっても影響してきます。
ちさこさんは普段、お肉とお魚だとどちらの方が食べている量、頻度が高いですか?
また、スイーツ等お食事以外に何か召し上がっているものはありますか?

栄養士

49歳女性 ちさこさん

そうね、子供の食事に合わせてお肉が多くなっているかしら…週4日位はお肉を食べているわ。
なるべく脂身は避けていて、ひき肉や鶏肉をよく使っているかしら。
甘い物は好きだけれど、太ってしまうから毎日ヨーグルトを食べて我慢しているの。

お食事はお肉が多く、毎日ヨーグルトを召し上がっているのですね。
ヨーグルトはどのくらいの量を召し上がっているのですか?

栄養士

49歳女性 ちさこさん

ヨーグルトは100g程のものを朝と夜に食べているわ。

その他、牛乳やチーズ等の乳製品は召し上がっていますか?

栄養士

49歳女性 ちさこさん

そうね、カフェオレを1日2~3杯は飲んでいるわね。1Lの牛乳パックが大体5日位で無くなっているわ。
最近は家族があまり牛乳を飲まないからほとんど私が飲んでいるかしら。
チーズは家族みんなが好きだから、チーズハンバーグや、グラタンなどよく作る事が多いわね。
あとは小腹が空いた時に一口チーズをよく食べるわ!
…考えると週半分位はチーズを使って料理しているわね…一口チ―ズも1日1個は食べているわ…
もしかしてチーズの量が多いのかしら?

そうですね、ちさこさんは乳製品類の量が多いかと思われます。
まずは1日の摂取量を見てみましょう。牛乳はコップ1杯(200ml)か、ヨーグルトは1個100g程の物を2個が目安になっています。
ちさこさんが召し上がっている1日の乳製品の量は、ヨーグルトで約200g、牛乳で200mlと、ヨーグルトまたは牛乳のどちらかで1日の摂取量が補えていますね。
加えて、チーズ料理や一口チーズも召し上がっているとなると1日の摂取量が多いですね。

栄養士

「食事バランスガイド」について
厚生労働省 (mhlw.go.jp)

実は肉の脂身や鶏肉の皮、バターやチーズ等の乳製品類にはLDLコレステロールを高めてしまう『飽和脂肪酸』が多く含まれているのです。
その為、これらの食品を多く摂る事により血液中のLDLコレステロールが上昇する傾向にあります。
このLDLコレステロールが増えると血管に沈着してドロドロの粥状物質(プラーク)となります。それが血管内を狭めていき狭心症を引き起こしたり、
血栓ができて心筋梗塞や脳卒中等の動脈硬化性疾患を誘発させます。

栄養士

49歳女性 ちさこさん

そんな…病気になりたくないわ…

特に女性は閉経によりLDLコレステロールが上昇してしまう方が多い為、注意が必要です。
まずは食事バランスガイドを参考に、現在の乳製品の摂取量を調節していきましょう。
そして、LDLコレステロールの上昇を抑える食事のポイントも一緒に確認しましょう。

栄養士

~LDLコレステロール上昇を抑える食事のポイント~

①低脂肪や無脂肪の乳製品類を利用する。

乳製品類には飽和脂肪酸が含まれていますが、重要なカルシウム源でもある為、食事バランスガイドを参考に適切な量の摂取を意識しましょう。
また、低脂肪牛乳や脂肪0のヨーグルト、豆乳などを利用する事もおすすめです。

低脂肪や無脂肪の乳製品類を利用する。
②加工食品やお肉の脂に注意!

肉の脂身や鶏肉の皮、ハムやソーセージ等には、血中コレステロールを上げる作用のある飽和脂肪酸が多く含まれます。
これらの動物性脂肪や脂身の多い肉を控え、赤身肉や皮をとり除いた肉を使用したり、魚や大豆製品を主菜として取り入れましょう。
摂取目安量として、魚やお豆腐は片手の手の平に収まる量(切り身1切れや豆腐半丁)、納豆は1パック程です。
また、最近では加工食品に「食物油脂」とよく書かれている商品があります。
この食物油脂、「パーム油」という油を使用しており飽和脂肪酸が多いのです。
その為、摂りすぎには注意をしましょう。

加工食品やお肉の脂に注意
③食物繊維を摂ろう

食物繊維はLDLコレステロールを増えにくくしたり、心筋梗塞のリスクを下げるとも言われています。
水溶性食物繊維はコレステロールが腸で再吸収されることを抑えて、余分なコレステロールを排出する働きがあります。
食物繊維が豊富な食品として、野菜、きのこ、海藻類、こんにゃく等が挙げられます。
また、パプリカやニンジン等、色の濃い「緑黄色野菜」は抗酸化作用が強い食品なのでLDLコレステロールの酸化を抑える事にも効果的です。
健康を維持する為に必要な野菜の摂取目標量は、成人1日当たり350g以上と掲げられており、 これは副菜(サラダや野菜が主材料の小鉢)5~6皿ほどの量にあたります。
食事バランスガイドでは、野菜の他にきのこ、豆、いも、海藻料理も含めて「副菜」と 表示されているので、これらの食品を意識して摂取しましょう。

食物繊維を摂ろう

49歳女性 ちさこさん

これからはヨーグルトは朝だけにして、カフェオレは低脂肪牛乳に変えてみようかしら!
お料理も、チーズは使いすぎないように気を付けて野菜やキノコをたくさん入れてみるわ!
魚も食べたいけれど、お料理するのに扱いづらいのよね…

乳製品類の量を考え、野菜やキノコをお料理に使う事、とても良いですね!
お魚も缶詰を使うと手軽に摂ることができ、保存も可能ですよ。
近頃はサバの缶詰だけでなく、イワシやニシン、サンマ等バリエーションも豊かですよ。

栄養士

49歳女性 ちさこさん

缶詰でもよいのね!
それなら手軽に食べられそうだわ!最近は缶詰を使ったレシピも増えているから作ってみようかしら。

コラム

~丈夫な骨を作る為には~

健康的で丈夫な骨には、カルシウムは欠かせない栄養素です。
カルシウムは、牛乳やヨーグルト等の乳製品類、納豆や豆腐等の大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、魚類等に多く含まれます。

特に乳製品類からカルシウムは効率良く摂ることができ、コップ1杯の牛乳(200ml)に約200mgのカルシウムが含まれています。
厚生労働省が1日の推奨量として提示している量は男性(18~64歳)750mg/日、女性(18~64歳)650mgですが、日本人は男女共に500mg程しか摂れておりません。

また、ビタミンDやタンパク質、ビタミンKを食事からバランス良く摂ることも必要です。
特にビタミンDは、体内のカルシウムの吸収を促進して、骨を強くします。ビタミンDが不足すると骨がもろくなり、骨折を起こしやすくなります。

ビタミンD不足を防ぐには、ビタミンDを多く含む食品(サケ・サバ・サンマ・アジ等の魚介類、マイタケ、エリンギ等のキノコ)に多く含まれています。
これらの食品を摂取し、丈夫な骨を作りましょう。

注意
特に治療中の方は、食事量、調理方法など、必ず担当の医師や栄養士に確認し、指示に従ってください。

栄養バランスのよい食事とは

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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