保健師コラム 小石川の健康散歩道

第42回 味噌汁は健康づくりの救世主?!
~味噌汁の塩分量と栄養素どっちをとる?~

産業保健本部 保健師 志村 麻衣子

~味噌汁の歴史と現状~

皆さんは一日に味噌汁を口にする機会はありますか。あったかい味噌汁は、日本独特の料理でもあるそうです。その歴史は鎌倉時代から始まり、室町、江戸、現代へ。
味噌は大豆、麹、塩からつくられる発酵食品。腸内細菌を整える効果があり、積極的に摂ることを意識されている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、味噌汁を含む日本食文化は、戦後80年近く欧米化が進み、洋食、中華、ファストフードなど食の多様化により、日本食の利用も減少傾向にあるようです。最近の動向では主食の米の消費量や味噌の消費量も年々減少しているようです。反対に動物性脂肪の摂取は増加していることも統計で示されています。
日々の保健指導の際にも、食事内容が朝は菓子パン、昼はカップ麺、夕はハンバーガーというような方もおり、栄養バランスの偏りが顕著になるケースもみられます。

~味噌汁に含まれる塩分~

欧米化している日本人の食生活、少しでも日本食を手軽に利用できないでしょうか?
そこで、日本食にかかせない“味噌汁”。豆腐やお野菜が入り、タンパク質と食物繊維、ビタミン類、カリウムなども摂れ、ヘルシーで消化にも良い。なんとも魅力的ですよね。
しかし、味噌汁は、塩分が多いのでは?と気にされる方もいるかもしれません。
実際は、味噌汁1杯:約1.2〜1.5gほど。反対にカップ麺やラーメンは約5g~8gほどの塩分量です。市販のレトルトカレーは約2.7g。味噌汁よりも、簡単に食べられる加工食品は塩分が高いことがわかります。

~味噌汁の栄養素とメリット~

さらに、味噌汁は、味噌の原料である大豆の栄養素による、健康効果も期待できる面があります。

コレステロールの抑制
大豆に含まれるレシチンや食物繊維は、コレステロールを排出する作用が期待できます。

抗酸化作用
大豆に含まれるポリフェノールをはじめ、ビタミンE・イソフラボンなどは、どれも体内の酸化抑制効果をもたらし、がんや生活習慣病、老化の予防にも。

~塩分量/栄養素どっちを取るの?メタボ対策の強い味方~

さらに、味噌汁は、具材として、野菜やタンパク源を入れれば1品でも十分なおかずになります。気になる塩分も、具沢山にすることで、スープ量も抑えられ減塩対策に。
また、夜遅い食事に利用すれば、満足度も高く、ヘルシーな一品にもなります。

作るのが面倒・時間がない時は、フリーズドライの味噌汁を利用するのも1つです。余裕があれば、卵や豆腐、冷凍の根菜、葉物を利用するのも便利ですね。また、即席味噌汁は付属の味噌量を加減して利用すれば、塩分量も調整できます。

味噌汁の塩分量は加工品に比べると比較的抑えられ、栄養価も高い。“日本食・味噌汁”
利用しない手はないかと思います。食事は面倒、時間がなくて、昼にカップ麺や夕に加工食品が多い方、まずはその1食を具沢山の味噌汁とおにぎりにかえてみるのも栄養バランスの偏り防止になるのではないでしょうか。

参考資料:
・厚生労働省 国民健康・栄養調査 国民健康・栄養調査|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
・全国味噌工業協同組合連合会 /味噌健康づくり委員会 みそ健康づくり委員会/ 味噌の公式サイト (miso.or.jp)
・農林水産省 農林水産省ホームページ (maff.go.jp)
・七訂食品成分表2023

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

同友会メディカルニュース

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