栄養士連載 食事プラスワン

第33回 肝臓を守る習慣

最近健康が気になり始めたマサ子さん(58歳)が人間ドックを受診したところ、肝機能の数値が高めとの結果が出ました。

併せて脂肪肝の指摘も受けています。どのような習慣が肝臓に影響を与えているか、管理栄養士の話を聞いてみましょう。

58歳女性 マサ子さん

なんで私が脂肪肝に…
年のわりには太っていないと思うし、お酒も飲まないのに…

お酒を飲み肥満体型の人が脂肪肝の指摘を受けるイメージをお持ちの様ですね。
おっしゃる通り、肥満であることや飲酒習慣がある方は肝機能の数値が高くなりがちで、脂肪肝になる可能性も高いです。
ですが、マサ子さんが指摘を受けているように、脂肪肝は必ずしもアルコールや肥満だけが原因ではないということも事実です。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

胃もたれが気になるので、油っぽいものも好んで食べないんですが…

『脂肪』という言葉から、油っぽい食事によって肝臓に脂肪がつくとお考えですね。
もちろん、油脂を多く含む食べ物からも肝臓に脂肪分は供給されています。
それだけでなく、摂りすぎた糖質は肝臓で新たに中性脂肪に合成され体内に貯蔵されます。
つまり、主食(ごはん・パン・麺類等)が中心の食事やお菓子類を食べる習慣がある場合も脂肪肝のリスクが高まります。

栄養士

58歳女性 ヨシ子さん

あら!!お菓子の食べ過ぎも、脂肪肝の原因になるのね。
甘党で、お菓子は毎日食べるているわ。もちろん、カフェラテにもお砂糖をたっぷり…。
太っていないから大丈夫だろうと思っていたけど、やっぱり甘いお菓子の食べ過ぎは良くないのね。

マサ子さんは、運動習慣はありますか?

栄養士

58歳女性 マサ子さん

運動は苦手で、若い頃からインドア派なの。
足腰の衰えも気になるから、散歩でもしないととは思うんだけどね~…

運動不足も脂肪肝の要因と考えられます。
エネルギー源として活用される中性脂肪が、消費できずに体にため込まれてしまうためです。
通常は皮下脂肪として蓄えられますが、必要以上に増えると内臓脂肪として肝臓をはじめとする臓器や筋肉に溜まります。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

そうなのね。
脂肪肝を改善するには、どんなことをしたら良いのかしら?

間食の見直しと、運動不足の解消をすると良いでしょう。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

お菓子は1日2回、15時頃と夕食の後に食べているの。
食事の時は日本茶を頂くけれど、やっぱり甘いお菓子には甘いカフェラテやコーヒーが合うのよね~

摂取カロリー

マサ子さんは、本当に甘いものがお好きなんですね。とてもイキイキとお話されますね!
間食をすべてなくす必要はありませんが、今よりは控える必要があります。
1日の間食の適正エネルギー量は200kcal程度です。
種類によって異なるので商品の栄養成分表示を参考にするとより正確なエネルギー量を把握できますが、
マサ子さんの間食の合計は約350kcalとオーバーしていますね。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

あら!!そんなに多かったなんて驚きだわ!
お菓子を食べる分、白飯の量は少なく調整しているつもりなんだけど、ダメなのかしら?

美味しくて、ついつい食べてしまうと思いますが…お菓子は油脂が多く含まれることが多く、白米に比べ高カロリーです。
間食は1日に1回までにすると良いですね。
また遅い時間に食べると血糖値が上がりやすく脂肪が蓄積しやすいため、おやつは15時頃が望ましいです。
白飯の量を少なくしてしまうと食後に物足りなさを感じてしまうため、適量の白飯を摂ると良いでしょう。
女性の適量は150~180g程度なので、茶碗に軽く1杯程度です。
白飯は炭水化物が約80%占めますが食物繊維を多く含み、タンパク質やビタミンB1など様々な栄養素が含まれます。
栄養バランスをよくするためにも適量摂取することはとても大切です。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

糖質制限ってよく聞くし、白飯の量を減らすと健康的な食事になると思っていたわ。

あとは、運動量を増やす事ですね。

栄養士

身体活動

体を動かす事は、走ったり筋トレなどいわゆる運動をすることだけでなく、日常的な活動を増やす事も重要です。
まずは歩数を意識してみるのはいかがでしょうか?
まずは、国が目標と掲げる8000歩を目標にすると良いですね。

栄養士

58歳女性 マサ子さん

もっと大変なことをしないと脂肪肝が治らないと思ったけど、頑張れそうなアドバイスで安心しました!
来年は脂肪肝の指摘をされないように、日々の生活を見直したいと思います。

コラム

脂肪肝とインスリンの働き

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖を下げる唯一のホルモンです。
肝臓・筋肉・脂肪組織に作用し、細胞内にブドウ糖を取り込んだり、ブドウ糖を中性脂肪に合成する働きがあります。
こうしたインスリンの働きで、血糖値が一定に保たれています。
しかし、肝臓等のインスリンが働く臓器で、インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの効きが悪くなった状態を『インスリン抵抗性』と言います。
脂肪肝になると、インスリン抵抗性が増し2型糖尿病のリスクが高まります。

肝臓は【沈黙の臓器】とも言われ、痛みを感じる神経がなく全体の20~30%正常であれば働き続けることができます。
肝炎に進行する前に肝臓を労わり脂肪肝を改善することは、自分自身の健康を守ることに繋がります。
肝臓だけでなく、生活習慣病は自覚症状が出る頃には数値が悪化しているケースが多くあります。
健診や人間ドックで数値の異常を指摘されたら、医療機関を受診することをお勧めします。

注意
特に治療中の方は、食事量、調理方法など、必ず担当の医師や栄養士に確認し、指示に従ってください。

栄養バランスのよい食事とは

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

同友会メディカルニュース

小石川の健康散歩道

保健師コラム

第44回
がん検診の受診はお済みでしょうか?~NEW
第43回
「座り過ぎ」に要注意!   ~毎日コツコツ、病気予防~
第42回
味噌汁は健康づくりの救世主?!
      ~味噌汁の塩分量と栄養素どっちをとる?~
第41回
食べる・育てる・観る ガーデニングの良いところ
第40回
推しの力!
第39回
炭酸飲料?お茶?あなたは何を飲みますか?
第38回
気になる喉の乾燥の防ぎ方
第37回
香りやにおい、マスク着用の日々だからこそ、意識してみませんか。
第36回
こころを整える 〜リフレーミングをとりいれて〜
第35回
パンダと一緒に健康に!?
第34回
好きな香りはありますか?
第33回
快眠のための寝具について
第32回
マスクと肌トラブル
第31回
腸内環境を整えよう~腸活のススメ~
第30回
手洗い・消毒後は、保湿をセットで手荒れを予防
第29回
心を満たす食卓が鍵
第28回
『コロナ太り』を解消!要因を知って具体的な対策に
第27回
外出自粛期間を乗り切るコツ 運動編
第26回
飛行機内の湿度は砂漠よりも低い?!
第25回
「お料理」のススメ
第24回
階段利用で歩数UP・プチ筋トレ♪
第23回
釣って食べる!海釣りのオススメ~船酔い(乗り物)酔い対策編~
第22回
素敵な和菓子
第21回
『デンタルケアから始める健康管理』
第20回
『気にしていますか? 夜間熱中症』
第19回
本当の血圧はどれくらい? ‐意外と知らない血圧上昇の原因‐
第18回
五感を働かせ、楽しみながらの英語習得!認知症予防にも効果的!?
第17回
「素敵な靴は、素敵な場所に連れて行ってくれる」って本当?!
第16回
今、スポーツ観戦がアツイ!
第15回
釣って食べる!海釣りのオススメ ~運動編~
第14回
太鼓に感動!
第13回
運動前の糖質摂取―大事なのは種類とタイミング―
第12回
体質は遺伝する、習慣は伝染する。
第11回
新生活を迎える時ほど大切に!家族・身近な相手とのコミュニケーション
第10回
もっと気軽に健康相談♪
第9回
食材で季節を感じてみませんか?
第8回
夏の日差しを楽しむために
第7回
休日は緑を求めて…
第6回
お風呂好きは日本人だけ?
第5回
気分の高揚を求めて
第4回
みなさん、趣味はありますか?
第3回
休み明けの朝だってすっきりさわやか、そんな生活への...
第2回
忙しい日々こそ、1日をふりかえること。
第1回
少しの工夫で散歩が変わる!

お元気ですか

季刊誌 お元気ですか

2024年10月号
  • 私の健康法
    ゴルフトーナメントプロデューサー 戸張 捷さん
  • 鼠径ヘルニアについて
    順天堂大学医学部附属順天堂医院
    大腸・肛門外科 助教 雨宮 浩太
    ドクターによる健康に役立つ医学情報をご紹介いたします。
  • 糖尿病について考えてみませんか?
  • 自宅でできる足の筋力トレーニング
  • 更年期の女性だけじゃない?「更年期障害」
  • 春日クリニック 特別ドック2024年4月1日フロアリニューアル

ページトップ