保健師コラム 小石川の健康散歩道

第40回 推しの力!

保健師 野中 未夏

みなさんは「推し」はいますか。「推し」とは、人にすすめたいほど気に入っている人や物のことを表す俗語でしたが、元来の意味を超えて、食品、グルメ、鉄道、歴史など、あらゆる対象に広がり、広く認知されるようになりました。
ちなみに推しに費やす活動を「推し活」と言います。「推し活」は実際に推しに会いに行ったり、SNSで情報を得たり人によって様々ですが、推しを考えている時間はリラックスしたり、ストレス解消になったりとポジティブな気持ちになることが多いかと思います。「好き」の力は偉大で、心のお守りになります。

推しのペンギン
推しのペンギン

そして実際、推しがいることで脳にも良い影響があります。
推しを見たり、推しのことを考えている時、脳の中では幸せホルモンと呼ばれるオキシトシン、セロトニン、ドーパミンの分泌が増えるそうです。これらは日光を浴びたり、誰かとスキンシップをとったり、規則正しい生活でも得られるものですが、推しは心の健康に良い影響を与えてくれます。
その他、推し活でお出かけして活動量が増えたり、誰かと交流するきっかけになったり自然と世界が広がることも。楽しさ、愛情、喜びなど、好きなものを推しているときに湧き上がる感情は、人生に彩りを与えてくれます。

実際の保健指導でお会いする方で、推し(趣味)が全くない・人とのつながりが少ない・時間がないなどとお話しする人も少なくなく、そういった方はストレスがたまってもうまく発散できなかったり、元気のない印象が多くありました。推しをみつけることや推し活することは実は簡単なことではないかもしれません。ただ、現在会社中心の生活をしている人は、リタイアによって社会的な孤立などもあり、うつ病や認知症などを発症することも心配されます。

一方で「推し疲れ」という言葉もあるように、推しに夢中になり過ぎると、生活に支障がでることもあります。推し活を楽しく続ける上で、使えるお金や時間、SNSの使い方などは決めておくことが大切です。

推しがいることで、仕事や色々なことを頑張れたり、日々の潤いにつながります。推したいと思える存在に出会えることは、とても幸せなことですね。ぜひ自分の「推し」をみつけて、毎日の活力につなげていただけばと思います。

私の推し活 鹿島アントラーズ!
私の推し活 鹿島アントラーズ!

同友会メディカルニュース / 医療と健康(老友新聞)

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