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季刊誌「お元気ですか」のご案内

NEW 2024年10月号

戸張 捷さん

「私の健康法」

関わる人たち全員をWin―Winにしてあげるのが私の仕事。
運営側として常にクリエイティブなことを考えています。

ゴルフトーナメントプロデューサー
戸張 捷さん

―今回はゴルフトーナメントプロデューサーの戸張 捷さんにご登場いただきました。ゴルフ中継の解説やトーナメント、イベントのプロデュース、ゴルフ場の設計監修、ゴルフクラブ運営のコンサルティング等、ゴルフに関する様々な仕事を手掛けておられる戸張さんに、ゴルフの世界に入られたきっかけや仕事に対する向き合い方などについてお話を伺いました。

山スキーやラグビーで
体力はありました

 20代から30代の忙しい時期はトーナメントなどで出張が続き、ほとんど家で食事をしたことがなかったですね。その頃は、きちんと定まった時間に食事をするというのは人と約束をした時だけで、それ以外は仕事の合間に、食べられる時に食べるっていうやり方をしていました。当時はまあ、めちゃくちゃでしたよ。

 それまで体重は67・5kgでずっと来ていたのが、40を過ぎた頃から増え始めて、74・5kgまでいった時にこれはいかんと思い、ちょっと食べ物でセーブしました。揚げ物をあまり食べないとか。

 私は16歳の時に親父を亡くしていますが、親父はスポーツ好きで、私が小学校に入る前から、冬になると山スキーに連れていかれました。私が入った小学校にはラグビー部があって、中学3年までずっとラグビーをやりました。スクラムハーフというポジションでナンバー9。今なら多分問題になるほどのハードトレーニングをやっていたんです。中学生なのに、まともにタックルしていましたからね。

 親父の遺言のようなもので、高校から本格的にゴルフを始めたんです。ゴルフ部のある高校で入部したんですが、ラグビーのおかげで体力はあったので、ゴルフの普通のトレーニングではもう、ちゃんちゃらおかしいぐらい平気でしたよ。

ゴルフクラブの人達から
エチケットも教わりました

 ゴルフ場って地方にあるので、ゴルフ場に行く日は朝6時に電車に乗るんです。当時、ゴルフをやれる家庭っていうのは恵まれていましたので、恥ずかしくて電車の端っこの方に行って、ゴルフバッグを見えないように抱き抱えていました。それで千葉の我孫子駅まで行き、そこからクラブバスに乗るんです。するとゴルフ場のメンバーの人たちも乗っているので、「お、坊主来たか」みたいに声をかけてもらえるのがありがたかったですね。
 ゴルフについてはそこで教育を受けたんです。ルールは守れ、待ち合わせの時間に遅れるな、嘘をついたらゴルフはそこで終わりだ、とか、基本的なエチケットも子供の時から教えられました。

ゴルフ人口を増やせば
ボールの売上も上がる!

 大学でもそのままゴルフを続けて、住友ゴムに就職しました。面白かったのは会社の独身寮に入った時のこと。住友ゴムはゴルフボールやクラブも作っている会社なのに、ゴルフを練習するネットがなかったんです。「ゴルフをやっている会社なんだからネットを作りましょうよ」って言ったら「新入社員がゴルフなんかやっちゃいかん」と言われて、それでカチンときてね。「ゴルフでビジネスをしている会社の社員がゴルフをやらないでどうするんですか?」って食い下がり、それでバトルをして、結局入れさせたんですよ。それで新入社員も庭で練習ができるようになったんです。

 ゴルフバックを持って堂々と電車に乗れないのもおかしいと感じていました。日本でもゴルフを野球と同じようにポピュラーなものにする。そのためにはどうしたらいいかを考えて、トーナメントを開催してテレビで放送すれば良いんだと思ったんです。テレビを見た人が「面白いから自分もやろう!」とゴルフをやり始めてくれれば、全国でゴルフ人口がどんどん増えますよね。

 それで最初に私が手掛けたのが、52年前に企画した「フジサンケイクラシック」です。25~6歳の時に産経新聞に企画を持っていきました。その頃、プロゴルフの大会を解説する人なんて1人もいなかったので「あんたが企画したんだから、あんたが喋れ」ってフジテレビに言われて、プロでもないのに喋ったっていうのが解説のはじまりだったんです。

 フィールドを大きくすることがその分野の社会を大きくすること。今、ゴルフ人口は700万人くらいかな。私がこの仕事をやり始めた頃はまだ100万人くらいでしたので、7倍くらいのフィールドになったわけです。すると自然にゴルフボールも7倍売れるわけですよ(笑)。

本当の意味で良いコースを
日本に作ることが夢です

 運営側ですから、常にクリエイティブなことを考えるようにしています。例えばピンの位置をどうすれば面白いかとか、どんなイベントをすればギャラリーが喜んでくれるかとか、選手に喜んでもらったり、テレビ局に喜んでもらったり、プロデューサー業務っていうのは関わっている人たち全員をWin―Winにしてあげないといけない。もちろんスポーツとして楽しくないと意味がないですし、初日の組み合わせは私が作るんですけど、そこで面白い組み合せが作れるかどうか、そういうことを考えています。

 今、日本には2千以上もゴルフ場があるのですが、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアに匹敵する本当の意味での「良いコース」が少ないんです。日本には接待文化があって、ゴルフ場も接待の場になっていたんです。するとやっぱり優しいゴルフ場で接待して、相手に「今日は楽しかったね」と言ってもらえないとダメなんです。もしアメリカの良いコースでやらせたら、難しいので普段よりスコアは悪くなってしまい、それでは接待にならない。でも、そういうコースが日本にもきちんとできて、難しいコースでも良いコースだって言われるようになったら、もっと日本のプロが世界レベルで活躍するようになれます。それを実現させるのが夢であり、そのために次の世代を育てていきたいと思っています。(談)

戸張 捷(とばり しょう)さん

<プロフィール>
戸張 捷(とばり しょう)さん
1945年生まれ。東京都出身
1968年に住友ゴム工業に入社し、1973年にゴルフトーナメントをプロデュースするため同子会社のダンロップスポーツエンタープライズの設立に携わる。
株式会社ランダムアソシエイツ代表。日本ゴルフ協会主催の3大オープン競技大会のゼネラルプロデューサーを担当している。

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